短編小説
(この物語は夢咲すずが寝ているときに見た夢を元に書いたフィクションです。実際の人物などには関係ありません。) 富める者はますます富み、貧しき者は持っているものでさえ取り去れるのである。新約聖書によれば、イエス・キリストがそう言ったとされている…
ある日の深夜、私はカラオケに行きたい衝動に駆られて家を飛び出した。 午前2時、寝静まった街。冷たい風に凍えながら歩いていると、遠くから建物の淡い光が見えてきた。あれはきっとカラオケ店に違いない。なぜかそう思った私は心を躍らせ、駆け足でその光…
「今日の学校のきゅうしょくはスペシャルカレーでした。にんじんゼリーも食べました。スペシャルカレーは3ばい食べました。とてもぜんぶおいしかったです。」 私が小学1年生の頃に書いていた日記が押し入れの奥から出てきた。そうだ、この頃の私はほぼ毎日、…
「ねえねえ、兄さん!」 弟が何やら困ったような様子で私を呼んでいる。 「兄さん、ぼく悩みがあるんだ。聞いてくれないかい?」 弟が私に悩みを相談してくるなんて珍しい、雨でも降りそうなくらいだ。とはいえおバカで呑気ものな弟のことだ。どうせくだらな…